不思議の国のアリス、調べるほどに面白い!
あなたは、アリスのキャラクターで一番好きなのはなんですか?
もちろんアリス、それから白うさぎ、チェシャー猫(私この猫、やっぱり猫バスを思い出してしまいます。チェシャー猫も消えるし。もちろん皮肉じゃないですよ、はい。オマージュではないかなと。。。)あ、ハンプティ・ダンプティ忘れてました。
私は大昔、英語の授業でハンプティ・ダンプティが出てきたと記憶しております。
なんだか序盤から飛ばし気味ですが、つまりはそれだけ「不思議の国のアリス展」が面白かったんです!。見ごたえあり。
わたしは、アートが好きで美術展もよく行くのですが、初日にはほぼいかないのです。しかし、今回は、なぜか初日に行かねばという義務感にかられ、オープンに合わせて会場へ。いや、朝からどんどん人が入ってました。
年齢層も幅広く10代からおそらく60代くらいの方まで、圧倒的に女性が多かったですが。ファミリーというより、アリス好きの大人、興味ありそうな学生さんが多いように感じました。
この展覧会は、ほかの地域でも開催されてこの地にやってきたのですが、それらの会場にも行って名古屋にも参加されているお客さんもいるようでした。びっくりです。
この「不思議の国のアリス展」は、出版160周年を記念しての企画展。
アリスの物語の出版本家である、英国マクミラン社に残るとても貴重なカラー原画などおよそ250点ほどが展示されています。
企画の意図は、同じ場面を4名の著名なイラストレーターがどのように描き、違いはあるのか?を比較し、検証していく企画で、それを鑑賞者は自分で感じ考え楽しむというものです。
ところどころ、作者のルイス・キャロルの描いた挿絵も展示されていて、これも注目です。決して、絵ごころは豊かではなかった作者のルイス・キャロルさんが、物語のモデルである少女アリス・リデルに本にして欲しいとお願いされ頑張った気持ちを感じ取ることができるでしょう。(このあたりの逸話ものちほど)
揺れ動く大人の心・・・。
う~んここら辺はあまり深く突っ込まないようにします。
では、このあたりで、みなさんご一緒にまどろみながら、アリスの世界へ深ーい穴へ落ちていきましょう!
一番大事:ルイスキャロルってどんな人?
これ大事ですね。作者についての情報です。
ルイス・キャロルは本名ではありません。ペンネームです。
本名は、チャールズ・ラドウィジ・ドッドソン(ドジソンと明記されている書籍もありますが、ここでは展覧会での表記に合わせドッドソンとします。)
ドッドソンは、1832年1月27日生まれ。産業革命の最盛期である英国ビクトリア朝の時代に活躍した人物です。
彼は、オックスフォード大学のクライストチャーチ校で優秀な成績を収め数学者として論文を発表するなど活躍、そういう時は本名のチャールズ・ラドウィッジ・ドッドソンを名乗り、物語の作家としてはルイス・キャロルと名乗り分けていました。
これは数学という学問の性質上、ひとつの名前で作り話(幻想的な児童文学)を出版することに抵抗を感じていた、名前で判断されたくないという意思から分けたのだそうです。
ルイス・キャロルって名前も本名をラテン語にして、文字を入れ替えてごにょごにょして英語にした名前で、相当凝り性!ものつくりなんかも好きな人だったようです。
そもそも「不思議の国のアリス」ってどうやってできたのか?
(これがルイス・キャロルがテキストも挿絵も自分で書いた「地下の国のアリス」。複製です。本物は大英博物館に所蔵展示されています。)
不思議の国のアリスは、「地下の国(地底の国)のアリス」というルイス・キャロルが自分で作った贈り物の本がもとになっています。
その本はルイス・キャロルが、親しくしていたクライストチャーチ学寮長のリデル家の子どもたちとの交流から生まれました。
リデル家とは、写真術(写真は誰でも撮影できるというものではなかった。撮影から現像までを勉強する技術だったのだ。)を身につけたルイスに、子どもたちの撮影を依頼したことから関わりが始まりました。
この時代の撮影は、とても大変でカメラの前で数十秒間じーっとしていなければ写りません。3つ4つの子どもがその間、動かずにいるなんてそりゃ奇跡でしょう。やはりルイスも何度か撮り直したようです。
こうやって仲良くなっていったルイス・キャロルとアリスを含めたリデル家の3人娘は、1862年7月4日にいっしょにボートに乗って川遊びに行きます。
このときアリス達に面白いお話をしてほしいと頼まれたルイスは、即興でアリスを主人公にした物語を語り始めました。
きっとそのお話はアリス達の心をぎゅっとつかんだのでしょう、夜お家へ帰る前に、アリスから今日のお話をぜひ本にして欲しいとせがまれルイスは引き受けたのです。このときルイス30歳、アリスは10歳くらい。
今じゃいくら交流のある家庭の子どもさんだとしても、大人と一緒に遊びに行くのはねぇ、時代としかいいようがないですね。
う~ん、お互いどういう心境だったのか?今となってはわかりませんが。このボート遊びを含めて、ルイス・キャロルと3人の娘(特にアリスとは)は、仲が良かったみたいで、皆さんはどう推理しますか。
ルイスに友達以上の感情が芽生えていたのか。
ちなみにこの時代の法によると女性は12歳で結婚可能だったそうです。
地下の国アリスから不思議の国のアリスへ
(出版された「不思議の国のアリス」でのプロイラストレータージョン・テニエルによる挿絵。アリスはこのうさぎと出会って深い穴に落ちていく。)
アリスから本にすることをせがまれたので、翌日から執筆を始めたようです。しかし、なんせ即興で話を作っていたので話を思い出しながら、つじつまが合うように話の数も増やし、挿絵も描きました。
挿絵を描くにあたっては、絵があまり得意ではないので、動物の資料をたくさん取り寄せて描いたといわれています。真面目な気質を感じますよね。
完成まで2年ほど。
(上がルイス・キャロルが描いた挿絵。)
今回の展覧会でもいくつかのルイス・キャロル作の挿絵が展示されています。
アリスのために懸命に描いたのが感じられます。頑張ってますルイスさん!
でも、「地下の国のアリス」をアリスに贈った後、出版の話になった時には、やっぱり挿絵は、プロに頼むことになり、当時の売れっ子イラストレーターであったジョン・テニエルに依頼することとなりました。
もちろんこの方が今回の松坂屋美術展での展覧会の主役の一人であります。
(この大きな鳥はドードー鳥。実在した鳥で絶滅種です。アリスのエプロンにあった飴と指ぬきを動物にプレゼントし、アリスはドードーから改めて指ぬきをプレゼントとしてもらう場面。ビクトリア朝時代、指ぬきは女の子の必須アイテムでした。)
少々長々と書いてしまったので、そろそろまどろみから覚めていきましょうか。
イラストレータージョン・テニエルについてなどは次回のブログで。
すぐ書きます。
「不思議の国のアリス」展、実は2回行きました。
鑑賞していると、微笑んでいる自分がいるんです。楽しいのですね。
もちろん絵は挿絵とは言いつつ、かなり細密に描かれていて、これが1800年代後半の印刷技術でしっかり印刷されていたと思うと驚きです。
ジョン・テニエルの原画は素描ですが、それ以外のイラストレーターはジョン・テニエルの原画をもとに描き彩色しているもの。
アリスのドレスといえば薄いブルーのイメージですが、担当イラストレーターによっては、赤だったり、薄い水色に塗っていたり。
鏡の国のアリスだとヘアバンドつけていたり、これはどうしてかな?と考えてみたり。
物語にしても、イラストにしても、いまだになにかこちらに想像を求める力を持っている児童文学なのだなと感じました。
それから、私が感じた楽しさは、おそらくジョン・テニエルたちの挿絵がルイス・キャロルの物語を補う語り部のような役割もあって、それあって楽しいのかなとも思えました。
ぜひともこの夏、お勧めしたい展覧会です。あ!ひとつ会場でご覧になってほしいのが、モニターで流されているモノクロの無声映画で1915年の「Alice in wonderland」。
冒頭の10分ほどが見られます。見始めると結構引き込まれます。椅子もあるので休憩にどうぞ。250点と展示数が多いのでゆっくり休憩しながらがいいと思いますよ。
グッズ紹介パート1
それでは、たくさんの種類から厳選して買ってまいりましたグッズをいくつか紹介していきますね。
今回購入したグッズ類、一度では紹介しきれないので2回に分けます。
まずは、大きなリボンのついた巾着です。かわいいです。白うさぎのプリントがめちゃいいです。中には内ポケットも付いていて、マチも8センチちょっとあります。お値段は、税込みで3960円。
続きまして、最近展覧会では増えてきました木製のポストカード。こちらはアリスとチェシャー猫。税込み880円。
台座の木片はわたくしの自前ですのでご注意を。見落としかもしれませんがなかったような気がします。
これはドードーのクリアファイルです。A5サイズ。税込み495円。
クリスタル髪留め。きれいなガラスでできています。税込み660円。
名古屋市・栄の「不思議の国のアリス」展は、松坂屋美術館で9月21日(土)まで開催中です。会期中は無休です。ぜひ、アリスファンはもちろんのこと、かわいい好きの皆さんにはおすすめの展示です。加えて、会場は涼しいですしね。
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参考文献
・「ルイス・キャロル・ハンドブック」編集者安井泉、七つ森書館、2013年
・図説「不思議の国のアリス」著者桑原茂夫、河出書房新社、2007年
・「ヴィクトリア朝の子どもたち」著者奥田実紀、ちばかおり、河出書房新書、2019年
・「アリスのワンダーランド」著者キャサリン・ニコルズ、ゆまに書房、2016年
執筆者
青木 雅司
美術検定1級アートナビゲーター
画像の左上が私です。こういう画像をたまに制作しています。
アクリル絵の具を使ったマーブリングを撮影して、いろんな画像と組み合わせています。