令和、アイドル梅雨の時代到来〜アイドルの芸術性を問う〜
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「たとえ現代のアイドルが束になっても、たった1人で歌う彼女には敵わない」
70-90年代のソロアイドルの動画のコメント欄で幾度もこのコメントを見た。
私も非常に同意をする。その感性が古臭いとも微塵にも思わない。
裏方にとっては何よりも売り上げが大事かもしれないけれど、表現の世界において、質よりも数や量の方が重視されている現代が狂っていると思う。
私は「昭和好き」ではない。質の良い表現が好きなだけだ。
たまたま質の良い音楽やアーティストが昭和に存在していたから、好きになっただけだ。
何故、若者の間で昭和歌謡や平成ブームが起きているのか大人達が議論しているが、時代補正だけではなく、時代を遡らないと情緒のある音楽が聴けないからという理由だと思う。
アイドル文化が衰退している理由に、AKB48が引き合いに出される場面もよく見かけるが、私は全く同意できない。
表現に興味がない商売に目が眩んだ大人達が、彼女達のやり方のなかで、お金になりそうな部分だけをかいつまんで、つまらない地下アイドルをどんどん生み出していったことが理由である。
劇場公演の楽曲や映像にも興味を持って欲しい。
人数がいるからこそできる表現を追求している芸術性や、少女性へのそこはかとない理解が溢れ出ている。
少女性があるAKB48の楽曲に対して、ロリコン売りをしているなんて言葉も見かける。
少女のリアルな気持ちを、当事者であるAKB48が表現しているだけだと思う。受け取り方の問題だと思った。
先日、ジュリー(沢田研二)の「勝手にしやがれ」の歌番組の映像を見た。
ジュリーが歌いながらジャケットのボタンを外したり、帽子を投げるパフォーマンスをしていて、一つの楽曲で惜しみなく表現をする姿に痺れた。
それと同時に、AKB48が「ジッパー」という楽曲で歌いながら衣装のジッパーを下ろす演出があった事を思い出した。
この曲以外にも、全員が寝そべった状態から始まる「目撃者」や、二人組が色っぽく絡み合いながら歌う「おしべとめしべと夜の蝶々」や、ラクロスのラケットを持ちながらパフォーマンスをする「ロッカールームボーイ」という曲など、挙げたらキリがないぐらい世界観を追求した楽曲がある。
アイドル云々の前に高度なパフォーマンスができる「表現者」であり、メンバーの適性などをきちんと見分けた上で楽曲などをプロデュースする「プロデューサー」がいる。
反感を買う事を承知の上で言わせていただくけれど、芸能の適性がない女の子もオーディションで採用してしまい、ただただ人数を集めて、メンバーに合っていないメンバーカラーの衣装を着せて、ガチ恋ソングを歌わせている大人や、それを望む女の子がいる限り、アイドル業界は残念ながら衰退していく一方だ。
誰がこの時代を終わらせてくれるのだろうか。
ハロプロや昭和のアイドルは別物とよく言いますが、それって言い訳だと思う。
アプローチや質感は違くても、持つべき魂は同じだと思う。
時代が変わっても、アイドルはアーティストであり歌手であり表現者である。質の良さは継承していくべきだったと思う。
そうでもしないと売れない時代にしたのは、女性と音楽にリスペクトがなく、欲望に目が眩んだ大人達だと思う。
嘘を嘘として楽しませてくれるストイックさもないアイドルが、誰でも「正統派」と呼ばれる時代。
正直オワコン。
一部の素晴らしいアイドル達が、数多の承認欲求のせいで霞んでしまっている。
彼女達こそが正統派なのに、変わり者扱いされて「アイドルではなくアーティスト」だなんて馬鹿げた事を言われている。アイドルはアーティストだ。
君が「正統派」だと呼んでいる推しメンは、アイドルはアーティストであるという大前提がある上で処女性を貫いていると言えるのか?
ただ清楚なビジュアルや色恋フレーズと自撮りの合わせ技ツイートや、老若男女に優しくしてくれそうな雰囲気がしているというだけで「正統派」と呼んでいないか?パフォーマンスの方はどう?
その「正統派」から男性の影をビジュアルやSNSから本当に一切感じない?
とにかくこの時代が本当に嫌い。適応できなくて良い。私を置いていって欲しい。
AKB48みたいに人数も多く、若いメンバーも多いなかで、悪い大人に傷つけられないように、「管理」を目的とした恋愛禁止条例ではないのなら、わざわざAKBの真似をして恋愛禁止にしなくて良い。
恋愛をする事で良い表現をするアーティストも沢山いる。
意味のない継承をして、AKBが悪い時代を作ったなんて怒るのはやめよう。意味のない継承をする地下アイドルプロデューサーに怒るべき。
老害と呼ばれても良いからアイドルとして音楽を愛した時代を否定されたくない。
暗黙の了解に切り込む勇気がなく、目を背けてばかりで何にも向き合ってない音楽ばかりでつまらない。
ラブソングで童貞を焚き付けているくせに、恋愛に向き合った歌すらない。
CoCoは正統派だけれど「いつか違う幸せを選んでいても今は同じ未来を夢見ていたい」と現実的かつ女性的な先見の眼差しと純粋な気持ちを歌っている。
もうアイドルが大前提アーティストである時代が悲しいことに終わった。地下アイドルは地下アイドルでしかないのだ。
アイドルはアイドルですらないのか。
接客(特典会)に重きを置き過ぎている。
過剰接客や色恋をしないと応援してもらえないなんて、それってアイドルである必要があるのかな。
接客が良ければ(過剰であれば)パフォーマンスはそれなりで良いという甘さがある人間が、それでよくアイドルをやろうと思ったな。
そういうアイドルも客の質を悪くして、アイドル業界が衰退していく。
地下だろうが地上だろうがアイドルはアイドルだ。
私はさっきから、記事にするまでもないような当たり前の事しか言っていない。
厳しくもないし、古臭くもないと思う。
恋愛禁止とかどうでもいい。こだわりと趣のある表現をするべきで、誰でもアイドルにしてしまう大人がいなくなれば良いと思う。
白バックに黒文字の謝罪文も見たくない。引退もして欲しくない。
色恋営業をするからこんな事が起きるわけで、水商売の方々の真似事をして、アイドルなのか水商売なのかよく分からなくなってる。アイドルも水商売と言われればそうかもしれないけれど。
地下アイドルは地下アイドル、キャバクラ嬢はキャバクラ嬢、コンカフェ嬢はコンカフェ嬢、メン地下はメン地下、ホストはホスト。
地下アイドル業界は、アイドルよりお客さんの方が少ないと思います。
ビジュアル、歌唱力、振る舞い、自己プロデュースが最低ラインに到達していないアイドルが蔓延しているのも、お客さんに失礼な話だと思う。
私のカテゴリも地下アイドルだけれど、地下アイドルが馬鹿にされてもぐうの音もでない。
当事者ですら同意する。
私1人が立ち向かおうと、この時代は終わらないし多分勝手に沈んでいく。かわいいだけじゃダメなのがアイドルなのに、アイドルがそれを言ってしまったらおしまい。
非実力派宣言をした森高千里さんがドラムもピアノも作詞もダンスもできて、どんな衣装も着こなせるビジュアルを持っていたのに、私たちがかわいいだけじゃダメですか?なんて口が裂けても言ってはいけない。
親近感を否定するわけではないけれど、表現者である自覚もなく、「親近感」に逃げる風潮に違和感を感じる。
憧れられる存在のアイドルが今では、思春期的な意味合いとかではなく「好きだと思うことや興味を持つことがなんか恥ずかしい存在」になっていて非常に悲しい。世間の冷たい目を感じる。
アイドル冬の時代どころの騒ぎではない。
じめっとした陰湿な空気感、まさにアイドル梅雨の時代。
地下アイドルのカテゴリで「楽曲派」という言葉が存在している事がおかしいよね。
それってアイドルはまともに音楽をやらない前提、表現を凝らない前提だから。
いわゆる王道のポップスしか流行らないから仕方ないと思いつつ、バズることを目的に一発屋に自分から飛び込んで女の子を消費させるプロデューサーが全員引退しますように☆
そしてチヤホヤされたいだけで努力ができないアイドルが全員引退しますように☆
私がお客さんの立場でお金を払うなら、肌と髪がツヤツヤで顔が小さくて頭身のバランスが良くて、自己プロデュースができて、良い歌やダンスを良い音楽に乗せて届けてくれるアイドルが良い。
そしてきちんと表現にこだわりがあるプロデューサーがついていて欲しい。
プロデューサーからのパワハラやセクハラなんてもってのほか。女の子を理解して管理できる大人がついて欲しい。
数年後に自分の部屋を片付けていて、アイドルのチェキが出てきた時に「なんで好きだったんだろう」なんて思いたくない。
ライブに行かなくなった今でも好きだなと思いたい。
それはその人の表現が素晴らしかったから、そう思えるんだと思う。良い歌だったから、良いダンスだったから、良いキャラクターだったから。
「顔だけだったなアイツ」とも思いたくないしね。
中森明菜さんが歳を重ねた今でも愛されているのは、我々若者にも伝わる表現の魅力があるからだと思う。
美しい、かわいい、楽しい、悲しい、切ない、嬉しい。色々な感情を歌で表現してくださる。
趣って演じる事ではなく、滲み出るものだと思う。
不動の立ち位置で、趣のある質の高いパフォーマンスを提供し続ける男性アイドル事務所が人気な理由も凄くわかる。
さらにその近辺の事務所(こういう言い方は相応しくないと思いますが)のアーティストの表現も本当に素敵だと思う。
色々な事情は置いておいて、その事務所の表現が衰退する事は絶対にないので、彼らがテレビに出続けてくれて良かったと感じる。
質の高い韓国アイドルとは別物として世間から見られる、日本ならではのパフォーマンスを届けてくれる。
いろいろ言いましたが、もっとアイドルにワクワクしたい。
そして私も言ったからにはワクワクさせられるように頑張ります
『今月のナンバー』
今月から赤城文のコラム内で始まったコーナーです。毎月、お気に入りの楽曲を紹介していきます。
A型メランコリー/中森明菜

元祖「恋のABO」(NEWS)だと思っております。
アルバム収録曲なのですが、この曲が中森明菜さんのシングルの A面としてリリースされていても何の違和感もない隠れ名曲だと思います。
あ、でも、シングルでリリースされていたらB級アイドル路線だと思われてしまっていたのかな。
私が A型(多分)なので「100%の愛を求める 私は A型」というフレーズに共感しました。
これで採血したらO型だったらすみません。採血してきます。でも一番共感したフレーズは「情緒不安定」です。
サビの前に「血液型何型ぁ〜?」「情緒不安定〜!」というキメのフレーズが存在しているので、耳に残りますし一見ユーモア系楽曲に感じますが、生真面目な性格の繊細で神経質な胸の内が綴られていて的を得ている神曲です。
血液型何型ぁ〜?

写真:悠歌(写真作家)
◉赤城文 リリース情報
4th Single「悪用厳禁美女」
今秋リリース。詳細は公式X(@aya_doll_die)にて随時解禁。
作詞:赤城文 作曲:吉良ナム
レコーディング:吉田仁郎(じろうゆスタジオ)
ジャケット:悠歌(写真作家)
タイトルロゴ:ルアン(電影と少年CQ)
執筆者 赤城文(あかぎ・あや)
FREEZINEにてコラム「文系恋人放浪中」連載中
「文系恋人放浪中」 by 赤城文 | FREEZINE(フリージン)
